「矢下廣男の蘭華道入門」

“らんきち症候群”



コルクに着生蘭を植えるとよく育つとコルクの取引先T氏に聞き、10年程前の11月末東京・八重洲の大丸デパートに行き6000円で、私の蘭第1号カトレヤ(Slc. Jewel Box Scheherazada)と、4000円で第2号デンドロビューム(Den.aggregatum)の2株を温室なしで育つことを確かめた上で買いました。
当時、すずらんは蘭でないことは知っていましたが蘭についての知識は殆どなく、T氏に教えられた通り、 まずカトレヤを土鉢から抜き、水苔をむしり取り水洗いしました。
私は草花、盆栽、植木、その椄木、菜園など小庭で長年なんでもやっていましたが、そのカトレヤの根を見たとき、大丸は土鉢の中が見えない事をいいことにひどいものを売り付けると思いました。
黒くなった根の出る部分から2〜3本生気のない根が垂れ下がっているだけなので、これは枯死すると確信(?)しました。
兎に角コルクに穴を開け針金で固定し、朝食時と通常夕方から寝るまでしか暖房しない食堂の天井に吊るし、 朝晩霧を掛けてやりました。
3週間ほどした朝、ふと見ると真黒になっている匍匐茎(スケッチ参照)から若緑色の1ミリから10ミリほどの根がぞろぞろ並んで出ているではありませんか。
思わず「おーい、かーちゃん来てみろ」 と大声で呼びました。
彼女もたまには霧を掛けてくれていましたから。 生気を感じさせない黒い棒から美しい緑の根が吹き出し、一日一日目覚ましい生長を見た時、その溢れる生命現象にすっかり感動を覚え、それから“らんきち症候群”の発症となりました。
その後、折々新しい株を入手しましたが、増えるにつれ温室がほしくなり、4年前それを作り、入手した株は一株残らずコルク材に植え付けています。
前置きが長くなりましたが、私の遊び方が皆様の参考になればと、具体的な方法を以下に申し述べます。

蘭については”万巻の書あり”で深い知識をお持ちの方が沢山おられます。
私は蘭について蘊蓄を傾けるなどという心算はありません。
ただ話の始まりとして皆様充分ご存じの事かも知れませんが、先ず園芸書の一部を要約してみます。


蘭の名前


原種は発見者の名前、歴史上の美女の名前、研究者の名前、例えばカトレヤは栽培で初めて花を咲かせた英国人William Cattleyの借名だそうです。
その他は主に形態を現わすギリシャ語が語源で、私には粋な命名とは思えません。第一オーキッドはギリシャ語の睾丸の意と英和辞典に出ています。交配種は、美的形容を英語で表現したものが大部分のようです。



生育場所

(地域ではありません)

春蘭やエビネの様に地生している種、シンビジュームの様に同一属で地生種と着生種があるもの、カトレヤの様に着生種のみ(私の知るかぎり)の属があります。



形態


今まで発見された蘭の原種は約25、000種と言われそれを約800属に分けています。
全植物の約一割が蘭科で、今も盛んに分化しています。
その形態は千差万別で、到底一括説明は出来ませんが、私がコルクに植え付けた限られた種について、今後紹介してゆくことにします。
これから先次の順序で、手持ちのタネが尽きるまで月1回の更新で続けて行きたいと思います。どうぞ宜しくお付き合い願います。


 第1回「カトレヤ及び近縁属(カトレヤ類)の巻き」1996.10.25 
 第2回「コルクに着けた蘭の育て方(前半)の巻き」1996.11.25 
 第3回「コルクに着けた蘭の育て方(後半)の巻き」1996.12.25 
番外編「世界らん展日本大賞」(2/22〜3/2)ブース出店のご案内




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